ビアのあるマイクロストリップラインの特性解析 Part 4

L1からL4へ遷移するマイクロストリップラインのビアには、縦方向に電流が流れるわけですが、この電流の戻り(リターン)を確保するため、その信号ラインビアの近辺にあるグランドにビアを設けることで、周波数特性(S11、S21)が改善することが分かりました。

 前回ではグランドのビアの数は2個でしたが、図1のように4個に増やしてみました。
4vias_nearby_via_of_msl.jpg
図1 L1からL4にわたるビアの近辺にあるグランドに4個のビアを打つ
 この状態のSパラメータ(S11、S21)は図2の通り。
4holes_nearby_VIA.jpg
図3 グランドビアを4個打った場合
 2個の時より若干ですが改善されています。さらにもう2個、つまり合計6個のグランドビアを打った状態を図3に示します。
6holes_nearby_VIA.jpg
図3 L1からL4にわたるビアの近辺にあるグランドに6個のビアを打つ
 この時のSパラメータの計算結果を図4に示します。
6vias_nearby_via_of_msl.jpg
図4 グランドビアを6個打った時のSパラメータ計算結果
 かなり改善できました。それでもまだ共振点が残っています。そこで、6つのグランドビアの配置を変えて共振点が無くなるか、試行錯誤することにしました。「カット&トライ」のようで、あまり褒められた方法ではありませんが、せっかくシミュレータがあるのでトライすることにしました。
 いくつかのパターンを試したところ、図5の配列がベストと分かりました。
best_6holes_nearby_VIA.jpg
図5 Sパラメータを最適化した6個のグランドビアの配置
 この配置の時のSパラメーターが図6です。
Best_S_Parameters.jpg
図6 図5の配列で、最良のSパラメータを得た。これなら文句はないはず。
 さて、これで一安心と思ったのですが、ふとレイアウトを見直して「これは現実とは違う」と気がつきました。その件に関しては、次回をお楽しみに。
Part3に戻るにはここをクリック             Part5に進むにはここをクリック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください